ここではサブクラス885での永住権(永住ビザ)申請についてまとめました。オーストラリアの永住ビザ申請はポイント制です。ちょっと複雑ですが、この記事を読めば申請方法のシステムを理解する参考になるでしょう。
しかしながら移民法は頻繁に変わりますので、あくまで参考としてご覧ください。
※弊社は留学エージェントですので、永住権に関するお問合せにはお答えできません。migration agents にご相談いただくとよいかと思います。
また以下の内容は2007年11月のものです。2009年1月以降、サブクラス885 サブクラス485 の申請条件がいろいろと変更になっています。詳細は移民局にお問い合わせください。
自然が多く気候がよくて住みやすい!!というイメージのオーストラリアですが、オーストラリアの永住ビザは他の先進国と比較して簡単に取得できます。はっきりいえば、ほとんどの人は2年間オーストラリアの学校に通えば永住ビザが取得可能です(ただし移民法の変更がなければ)。そのため、永住ビザ取得目的で周辺のアジア諸国から留学生が押し寄せているというのが現状です。永住ビザ取得を目指している学生の中での日本人の比率はまだそれほど高くないですが、今後は増えていくものと思われます。
それでは、どのような人が永住ビザを申請できるのでしょうか?オーストラリアの国土は日本の20倍で人口は6分の1。国策として移民で人口を増やすということもあり、オーストラリアで人手不足の職種のスキルを持った人に永住ビザを発行していると いうのが現状です。これは、人手不足の職種に該当するスキルをすでに持っている人は 、条件を満たす英語力があれば永住ビザが申請できるということですが、逆に現在スキルがない人でも、オーストラリアの学校で2年以上勉強してそのスキルを 身につければ永住ビザが申請できるということも意味しています。つまり、今から準備を始めても、多くの人は永住ビザが申請可能になるということです。
仮にオーストラリアの永住ビザを取得したとしても、オーストラリアの市民権を取得しない限りは日本国籍を失うわけではありません。永住権と市民権は選挙権 以外は特に差がないので、永住ビザを取得すればオーストラリア国民と同等の権利を得て生活できるというわけです。
ではオーストラリアの移民局 DIAC のサイトを参考に、永住ビザ申請の方法についてみていきます。
難しいことは抜きにして、まず永住ビザ申請の具体例を見てみましょう。詳細は後ほど説明しますのでそちらをご参照ください。先ほどお話したように、オース トラリアでは主に人手不足の職種のスキルを持った人に永住ビザを発行していますが、現在そのスキルがない人でもこれからそのスキルを身につけることによっ て永住ビザの申請が可能になります。では、多くの人が該当すると思われる「現在要求される 職種的スキルがない人が、これから準備して永住ビザを申請する場合」の具体例を見ていきます。
ここでは、サブクラス885 をいうカテゴリーで永住ビザを申請する例をあげます。まず、オーストラリアで人手不足の職種の1つに調理師があり ますので、例えば、調理師としてまったく経験のない人が2年間調理師の学校に通って、調理師という職種をノミネートして永住ビザを申請する場合をみてみます。 申請条件を満たしているかどうかは、 Points Test で120ポイント以上獲得できるかどうかで大まかに判断できます。
例1: 調理師でノミネートして永住ビザを申請する場合
Eligibility Requirements |
申請者の条件例 | Points Test |
Age | 申請時年齢40-44歳 | 15 |
English language ability | 4項目すべて IELTS 5.0 以上 | 15 |
Nominated skilled occupation | Cook (調理師)でノミネート | 60 |
Specific work experience | 調理師としての経験なし | – |
Australian work experience | Certificate III 終了後、調理師としてシドニーで週20時間・1年間以上勤務 | 10 |
Australian qualifications | Diploma in Hospitality Management (Cookery) 2年コース修了 | 5 |
Occupation in demand/job offer | Diploma in Hospitality Management (Cookery) 2年コース修了 | 15 |
Community language | 最終学籍が高校または短大卒業 | – |
Regional Australia study | シドニーで2年間学校に通う | – |
Partner skills | 独身 | – |
TOTAL POINTS | 120 |
2007年9月に改定された移民法に従えば、上記条件の人は Points Test で120ポイントが獲得でき、永住ビザの申請が可能になります。つまり、何も職種的なスキルがない人でも44歳までに申請できる人であれば、2年間オーストラリアの学校に通い、英語の勉強をして、ワーク・エクスペリエンスを積めば、 調理師として永住ビザが申請できるというわけです。職種でいえば、美容師や菓子職人などをノミネートした場合もこの例に近くなります。 以下に、会計士としての実務経験のない方が、会計士の学校に通って永住ビザを申請する例もあげておきます。
例2: 会計士でノミネートして永住ビザを申請する場合
Eligibility Requirements |
申請者の条件例 | Points Test |
Age | 申請時年齢30-34歳 | 25 |
English language ability | 4項目すべて IELTS 7.0 以上 | 25 |
Nominated skilled occupation | Accountant (会計士)でノミネート | 60 |
Specific work experience | 会計士としての経験なし | – |
Australian work experience | 会計士として、シドニーで実務経験を積むことは困難 | – |
Australian qualifications | Master in Professional Accounting 2年コース修了 |
5 |
Occupation in demand/job offer | Accountant (会計士)でノミネート しかし、会計士として、シドニーで実務経験を積むことは困難 | – |
Community language | 日本で4年制大学卒業 | 5 |
Regional Australia study | シドニーで2年間学校に通う | – |
Partner skills | 独身 | – |
TOTAL POINTS | 120 |
つまり、オーストラリアで2年間学校に通えば永住ビザ取得の可能性がある、ということです。※2007年現在
サブクラス885 での永住ビザ申請はポイントを計算するなどして数年前から準備するケースが多いですが、申請に当たっては申請時の移民法が適用されます。この移民法自体が 随時変更されていくので、誰も先のことは正確にはわからないというのが現状です。
しかし準備は今ある条件に従って行わざるを得ません。そして現在の移民法 のすべては 移民局のサイトに記載されています。というわけでこのサイトを読み解いていこう、というのがこれからの主旨になります。
それでは2006年7月に大幅リニューアルされたサイトをみていきましょう。詳しい内容・最新の情報はリンク先の移民局のサイトで確認してください。
まず、永住ビザ (Permanent Visa) の申請に関わるページは、オーストラリアに移住できる手段が、以下のとおり大きく5つ書かれています。
● Workers(技術移住やオーストラリアの学校を卒業して永住ビザ 申請するものを含む)
● Business People
● Family Members (オーストラリア人との結婚やデ・ファクト(事実婚)を含む)
● Refugee or Humanitarian Entrants
● Returning Residents
ここでは一番該当者が多い Workers を取り上げます。Workers では、就労してオーストラリアに滞在できるビザについて、以下のとおり10項目を上げています。
● Employer Sponsored Workers
● Professionals and other Skilled Migrants (技術移住やオーストラリアの学校を卒業して永住ビザ申請するものを含む)
● Business People
● Doctors and Nurses
● Regional Employment
● Special Activities
● Employers
● Australia Needs Skills Expos
● Working Holiday Makers (ワーキングホリデー・メーカー)
● Air and Sea Crew
永住権申請で最も該当者が多いのが、上から2つ目の Professionals and other Skilled Migrants です。Professionals and other Skilled Migrants の概要は以下です。
● 申請時の年齢が18歳超45歳未満であること
● 条件を満たす英語力があること(詳しくは後ほど)
● SOL (Skilled Occupation List)に記載されている職種に関して、職歴またはオーストラリアの資格を所有していること
この3つを満たしていることが Professionals and other Skilled Migrants として永住ビザ申請の基本条件となります。
次に Visa Options を確認すると、以下の5つが出てきます。
● If you are in Australia
● If you are outside Australia
● If you are a New Zealand Citizen
● If you hold a Skilled – Independent Regional (Provisional) visa (subclass 495)
● If you hold a Skilled – Designated Area Sponsored (Provisional) visa (subclass 496)
ここでは、オーストラリアの学校に学校に2年間通ってそのまま永住ビザを申請する例を見ていきますので、一番上の If you are in Australia が該当します。下の5つのパターンあります。
● Skilled – Independent (Residence) visa (subclass 885) * Points Test の Pass Mark は120(留学生が2年間以上オーストラリアで就学してオーストラリアの資格を取得して申請できる永住ビザ)
● Skilled – Sponsored (Residence) visa (subclass 886) * Points Test の Pass Mark は100(例えば、留学生が2年間以上オーストラリアで就学してオーストラリアの資格を取得したが、サブクラス885 の申請条件である Points Test の Pass Mark である120をクリアできなかった場合にオーストラリアの親族または州・準州がスポンサーとなって申請できる永住ビザ)
● Skilled – Regional (Residence) visa (subclass 887)(特定の地方エリアで2年間の居住と1年間の就労をした人が申請できる永住ビザ。例えば サブクラス487 保持者などが対象)
● Skilled – Regional Sponsored (Provisional) visa (subclass 487) * Points Test の Pass Mark は100(例えば、留学生が2年間以上オーストラリアで就学してオーストラリアの資格を取得したが、サブクラス885 の申請条件である Points Test の Pass Mark である120をクリアできなかった場合にオーストラリアで指定されたエリアに居住する親族または州・準州がスポンサーとなって申請できる3年間の暫定ビザ。特定の地方エリアで2年間の居住と1年間の就労をすることにより サブクラス887 で永住ビザの申請が可能。)
● Skilled – Graduate (Temporary) visa (subclass 485) * Points Test のスコアは関係なし(留学生が2年間以上オーストラリアで就学してオーストラリアの資格を取得したが、 永住ビザの申請条件である Points Test をパスできなかった場合に申請できる18ヶ月の一時滞在ビザ。この期間内の就労・就学により永住ビザの条件を満たせば、永住ビザの申請も可能。)
Professionals and other Skilled Migrants If you are in Australia のまとめ
申請するビザの サブクラス |
ビザの種類 | 2年間の 就学者 |
Points Test の Pass Mark |
スポンサー | 地方居住 |
サブクラス885 | 永住ビザ | 対象 | 120 | – | – |
サブクラス886 | 永住ビザ | 対象 | 100 | 要 | – |
サブクラス887 | 永住ビザ | – | – | – | 申請前 |
サブクラス487 | 3年間の暫定ビザ | 対象 | 100 | 要 | 取得後 |
サブクラス485 | 18ヶ月の一時滞在ビザ | 対象 | – | – | – |
次章では、上記の一番上、オーストラリアの学校に学校に2年間通って永住ビザを申請するという一番多くの人に永住ビザ取得の可能性がある サブクラス885 についてみていきます。
さて サブクラス885 ですが、移民局のサイトには以下の説明があります。
● 年齢が45歳未満
● 十分な英語力がある
● SOL に記載されている職種の基準を満たす技術と資格を取得している。かつ、永住ビザ申請にあたりノミネートする職種が SOL で 50 or 60 ポイントの職種に該当する。
サブクラス885 の申請料は 1st Installment $2060 です。2nd Installment $2860 は規定の英語力を満たしていない18歳以上の扶養家族がいる場合に支払いが必要になります。
サブクラス885 は扶養家族を含めて永住ビザ申請が可能であり、永住ビザを取得すると以下のことが可能となります。
● オーストラリアでの永住および就労
● オーストラリアでの就学
● Medicare(医療保険)や PBS(医薬品給付制度)の利用
● 一定期間後に社会保障費の受給(通常2年後)
● 適格基準を満たすことによって市民権を得る資格
● 永住ビザ取得を検討する人のスポンサー
この永住ビザは、発給後5年間オーストラリアへの入出国が可能になります。5年目以降については、オーストラリア国内にいる場合は永住者としてのステイタスに影響はありませんが、永住者としてオーストラリアから出国する場合、Resident Return Visa (RRV) を取得する必要があります。なお、RRV 取得の条件はオーストラリアでの居住期間によります。 例えば、Five Year Resident Return Visa (Subclass 155) の適格要件には、過去5年間の内2年以上オーストラリアに滞在していることなどがあります。
サブクラス885 は Points Test で合格点に達する必要があります。
Eligibility は、申請資格を有する条件の説明です。
Main Applicant (申請本人)と Secondary applicant (その家族)についてがありますが、ここでは Main Applicant についてみていきます。
● Overseas Students and Graduate – Skilled (subclass 497) visa holders
● Skilled – Recognised Graduate (subclass 476) visa and Skilled – Graduate (subclass 485) visa holders
● Trade Skills Training visa holders
ここでは2年以上の就学後すぐに永住ビザを申請するケースについて見ていきますので、一番上の Overseas Students and Graduate – Skilled (subclass 497) visa holdersが該当します。
ちなみに サブクラス497 は、学校卒業後6ヶ月以内に以内に サブクラス885 を申請するにあたって、所有している学生ビザが切れてしまう場合に滞在を伸ばすことができる Graduate Skilled Temporary Visa です。
さて、Overseas Students and Graduate – Skilled (subclass 497) visa holders の詳細は以下の Eligibility Requirements の表で確認できます。ここには Basic Eligibility Requirements と Points Test の両方が記載されており、サブクラス885 で永住ビザを取得するためには、Basic Eligibility Requirements をすべて満たし、かつ Points Test のスコアが120に達している必要があります。
Eligibility Requirements | Basic Eligibility Requirements | Points Test |
Age | ○ | ○ |
English language ability | ○ | ○ |
Nominated skilled occupation | ○ | ○ |
Skills assessment | ○ | × |
Eligible visa | ○ | × |
Two (2) years study in Australia | ○ | × |
Location | ○ | × |
Health | ○ | × |
Character | ○ | × |
Australian Values Statement | ○ | × |
Specific work experience | × | ○ |
Australian work experience | × | ○ |
Australian qualifications | × | ○ |
Occupation in demand/job offer | × | ○ |
Community language | × | ○ |
Regional Australia study | × | ○ |
Partner skills | × | ○ |
上記 Eligibility Requirements の表のそれぞれの項目について上から順番に見ていきます。
サブクラス885 で永住ビザを取得するためには、 Basic Eligibility Requirements をすべて満たし、かつ Points Test のスコアが120に達している必要があります。Points Test のスコアの計算方法は サブクラス885 申請時の内容について説明していますのでご注意ください。
申請時の年齢は45歳未満が条件、ただし サブクラス485 保持者は除く。ポイントは以下のとおり。
Age | Points |
18 to 29 years | 30 |
30 to 34 years | 25 |
35 to 39 years | 20 |
40 to 44 years | 15 |
通常は IELTS の General Training Test のスコアで判別されます。スコアの有効期間はビザ申請から遡って2年以内。サブクラス885 申請にあたり、通常は以下のテーブルの中で Competent Level 以上が条件ですが、ノミネートする職種が Trade Occupation (調理師・美容師など)の場合は Vocational Level からでOKです。
Level of English | Required IELTS test results | Points | Specification |
Proficient | A band score of at least seven (7) on each of the four (4) components | 25 | For any occupations |
Competent | A band score of at least six (6) on each of the four (4) omponents | 15 | For any occupations |
Vocational | A band score of at least five (5) on each of the four (4) omponents |
15 | For trade occupation only |
Functional | An average band score of at least 4.5 based on all four (4) components | – | サブクラス885 対象外 |
※ IELTS って何?
IELTS (International English Language Testing System) とはイギリス・オーストラリア・ニュージーランドといった英国圏で一般的な留学や移住、就労のために必要な英語能力認定テスト。スコアは0.5刻みで最大9.0ポイント で、約2週間後に結果が出ます。IELTS の試験には4つのセクション(Speaking / Reading / Writing / Listening)があり、それぞれのスコアが上記の条件を満たしている必要があります。また IELTS には、大学などの学位取得を対象とした Academic Test と、高校・職業訓練校・移住審査を対象とした General Training Test の2種類があります。試験内容は Listening とSpeaking の問題はどちらのテストも共通で、試験時間は約3時間 。ちなみに日本でも受験可能です。
サブクラス885 の場合、自分が取得した資格が SOL で 50 or 60 ポイントの職種に該当している、かつ サブクラス885 申請時に自分がノミネートする職種が SOL に記載されている必要があります。 また、自分がノミネートする職種に関連するオーストラリアの査定団体から、自分が身につけたスキルがその職種に対して適切であることに対する認可を受ける(次項 Skills assessment 参照)必要があります。
Skill | Requirements | Points | Specification |
For most occupations where training is specific to the occupation | In most cases you will have a qualification (such as a degree or trade qualification) and experience which meets the relevant Australian standards. In some cases, experience without formal qualifications may be acceptable. | 60 | サブクラス885 対象 |
For more general professional occupations | You must have a qualification equivalent to an Australian bachelor degree or higher qualification. | 50 | サブクラス885 対象 |
For other general skilled occupations | You must have a qualification equivalent to an Australian diploma or advanced diploma. | 40 | サブクラス885 対象外 |
※ ノミネートする職種選びのポイント
後ほど Occupation in demand/job offer で説明しますが、ノミネートする 職種 が MODL に記載されているものであれば、SOL 記載の60ポイントに加えて MODL 記載でプラス15ポイント、合計75ポイントが加算できます。
申請者は自分がノミネートする職種に関連するオーストラリアの査定団体から、自分が身につけたスキルがその職種に対して 適切であることを証明するために技術査定を受ける必要があります。技術査定とは能力評価であり、申請者がノミネートする 職種に関して十分な能力を身につけているかを確認するものです。これらの査定団体についての詳細は ASRI (Australian Skills Recognition Information)で確認できます。
サブクラス885 で申請予定の方は特に問題になることはないかと思いますが、内容を簡単にまとめました。
申請者本人及び申請に含まれる者は、申請時に以下に記載するビザのいずれかを保有している必要があります。
1. Eligible Student Visa (申請資格のある学生ビザ)を保有している。
Non-Eligible Student Visa (申請資格のない学生ビザ)とは以下のとおり 。
ELICOS, non-award course, AusAid/Defence sector, Australian government (including State/Territory)-assisted, foreign government-assisted, multilateral agency-assisted
2. Non-Eligible Student Visa 以外のビザを申請中で Bridging Visa A or Bridging Visa B を保有している、かつ6ヶ月以内に Eligible Student Visa を保有していた。
3. Non-Eligible Student Visa 以外のビザを保有している、かつ6ヶ月以内に Eligible Student Visa を保有していた。
4. Eligible Student Visa を保有していたがそのビザキャンセルされている、かつ28日以内に MRT (Migration Review Tribunal) にそのキャンセルについて上告している。
5. Skilled – Recognised Graduate Visa (サブクラス476 、18ヶ月の一時滞在ビザ)を保有している。
6. Skilled – Graduate Visa (サブクラス485 、18ヶ月の一時滞在ビザ)を保有している。
7. Trade Skills Training Visa (Subclass 471) を2年以上保有している。
上記に加えて、申請者本人及び申請に含まれる者は以下の条件に該当しない必要があります。
1. 直近のオーストラリア入国以降、ビザ申請が拒否または取消されたことがある(別のビザが発給されている場合を除く)。
2. 現在保有のビザにオーストラリア滞在の延長申請を妨げるような条件がある(例えば Condition 8503, 8534 or 8535 など)。
申請者は サブクラス885 申請前6ヶ月以内に以下の条件のいずれかを満たしている、かつ16ヶ月以上就学している必要があります。
1. 2 Academic Years 以上就学して1つの資格を取得している
2. 合計で 2 Academic Years 以上就学して2つ以上の資格を取得している
2 Academic Years Study とは?
2 Academic Years Study はフルタイムで就学することが条件で、就学期間よりも修了した内容によって判断されます。例えば、これから受講するコースにおいて以前の就学内容によって受講する科目がいくつか免除される場合は、就学時間が減ることになります。DIAC はコースの標準的な期間を CRIOCOS の登録内容によって判断します。例えば、92週間として登録されているコースは2年コースとしてみなされます。
具体例その1
CRIOCOS に138週(3年)・24科目として登録されているコースは、1年8科目のコースと同じとみなされます。この場合、16科目を修了した時点で 2 Academic Years Study を満たしているとみなされます。つまり、最大8科目までの学科の免除を受けてコースを修了した場合でも 2 Academic Years Study を満たしていることになります。
具体例その2
CRIOCOS に92週(2年)・12科目として登録されているコースは、1年6科目のコースと同じとみなされます。この場合 2 Academic Years Study を満たすためには、12科目すべてを修了する必要があります。つまり、1つでも学科の免除を受けた場合は 2 Academic Years Study を満たすことができません。2 Academic Years Study を満たすためには、他の学位・資格の取得を取得することを目的としてさらに就学する必要があります。
Course requirements ~受講するコースの条件~
コース修了後に取得する資格がビザ申請条件を満たすためには、以下のものである必要があります。
1. Degree, Diploma, Trade Qualification のいずれかの学位・資格である
2. オーストラリアにあるオーストラリアの教育機関で受講されている
3. 英語で講義が行われている
4. CRIOCOS (Commonwealth Register of Institutions and Courses for Overseas Students)に登録されている
※ 注意: 英語学校は 2 Academic Years Study の条件を満たしません
Qualifications must be relevant to nominated occupation ~ノミネートする職種に関連する資格であること~
就学により取得されるオーストラリアの資格は、永住ビザ申請でノミネートする職種に関連していなければなりません。つまり、申請者はノミネートする職種で必要とされる 十分なスキルを就学により身につけている必要があります。
具体例その1
2 Years Study Requirement を満たすために、Diploma in Business と Certificate IV in Carpentry を組合わせて、Carpenter (大工)として永住ビザを申請することは可能。Diploma in Business は大工として自分でビジネスを始める際に役立つ資格であるとみなされ、これら2つの資格は関連性があるものと判断されます。
具体例その2
2 Years Study Requirement を満たすために、Masters in IT と Certificate III in Carpentry を組合わせて、Carpenter (大工)として永住ビザを申請することは不可能。Carpenter よりもより高く専門的な Master という学位を取得して Carpenter として永住ビザを申請することはできません。また、IT も Carpenter には関係がなく、これら2つの資格は関連性がないものと判断されます。
What if you have completed study outside Australia? ~オーストラリア国外でコースを修了している場合~
申請者がオーストラリア国内に滞在しないで受講しているコースは、 2 Years Study Requirement を満たしません。
例えば、オーストラリア教育機関の海外キャンパスで就学している場合、またはオーストラリア国外でオーストラリア教育機関の通信教育を受講している場合は、2 Years Study Requirement を満たしません。つまり、申請者はオーストラリアに滞在して就学しなければなりません。
Evidence to attach to your application ~申請時の添付書類について~
申請者は永住ビザ申請時に以下の内容が記載された学校からの修了証の Certified Copy を添付する必要があります。
コースの開始日、修了日 / 学位・資格の取得日 / 就学したキャンパスの場所 / 通信教育の有無 /フルタイムであったかどうか / 英語で講義が行われていたかどうか / 成績証明書の Certified Copy
Lodgement of application ~申込書の提出に関して~
申請者が留学生の場合、コース修了日から6ヶ月以内に サブクラス885 を申請しなければならなりません。
コース修了日とは申請者が学位・資格を取得したと第三機関が公示した日付のことであり、公示は以下のものによって行われます。
レター / 新聞での公告 / インターネットでの公告 / Email / 第三機関の掲示板
なお、この日付とは卒業式の日付などではなく、申請者に学位・資格が実際に授与される日付のことです。
申請者本人及び申請に含まれる者は、サブクラス885 を申請する時および申請結果が出る時に、オーストラリア国内にいなければならない。
What if you are not in Australia at the time of decision ~申請結果が出る時にオーストラリアにいない場合~
ビザが間もなく発給される状況において、移民局 は申請者にその旨を通知します。もしオーストラリア国外に行く必要があり、まだオーストラリアを離れていない場合は、書面で申請者本人及び申請に含まれる者がオーストラリア国外に退出する時期を指定します。
この期間内にオーストラリアを離れない場合は、申請自体が却下される可能性がありますのでご注意ください。
この条件を満たすために、申請者および申請に含まれる者は HSA (Health Services Australia) で健康診断を受ける必要があ ります。
What is the character requirement? ~人物審査とは何?~
オーストラリアへの入国にあたり、申請者および申請に含まれる者は「Good Character」でなければならない。そのため、この人物審査の条件を満たしているかどうかの証明として、 警察からの無犯罪証明書や軍隊の除隊証明書を提出する必要があります。
Character assessment ~人物査定~
申請者および16歳以上の申請に含まれる者は、申請書とともに人物査定の書面を提出する必要がある。さらに詳細が必要な場合は、 移民局から連絡が入ります。
Overseas police clearances ~無犯罪証明書~
申請者は過去10年間に12ヶ月以上住んでいたそれぞれの国に対して、警察からの無犯罪証明書を取得し提出する必要があります。また16歳以上の申請に含まれる者およびその扶養家族もまた、移住するかどうかに関わらず、 無犯罪証明書提出する必要があります。
可能であれば、申請書と一緒に無犯罪証明書の Certified Copy を提出してください。場合によっては、移民局からの書面なしでは無犯罪証明書 の取得を申請できないこともあります。この場合、ビザ審査中に移民局から申請者に無犯罪証明書が必要になる旨の書面が郵送されます。
無犯罪証明書を入手するのに最大12ヶ月を要するような国もあります。この入手に関して移民局 が介入することはできませんでので、できるだけ早く入手準備を開始することが重要です。
Australian Federal Police clearances ~オーストラリア連邦警察の無犯罪証明~
永住ビザ申請時に、申請者および16歳以上の申請に含まれる者は12ヶ月以内にオーストラリア連邦警察から発行された無犯罪証明書を 提出する必要があります。
永住ビザが交付されるためには、申請者はオーストラリア連邦警察の無犯罪証明書の Certified Copy を提出する必要があります。もしビザ申請時に 申請者および申請に含まれる者すべての無犯罪証明書が添付されているならば、ビザ審査の期間がより短縮されることでしょう。
Military discharge papers ~軍隊の除隊証明書~
申請者および申請に含まれる者が過去に軍隊に所属していた場合、除隊証明書の Certified Copy を提出する必要があります。
2007年10月15日より、18歳以上の者はビザ申請の一部として Australian Values Statement にサインする必要があります。この Statement はビザ申請書類に含まれており、18歳以上の申請者 はすべて、彼らがオーストラリアの生活様式を尊重し、オーストラリアの法に従うことを確認するために、それにサインをする必要があります。
過去4年以内に3年以上 SOL に記載されている職種に従事している場合、このポイントが加算できます。ただし、以下の雇用条件を満たしていること必要となります。
・週20時間以上就労している
・有給である
・サブクラス885 申請時にノミネートする職種、またはそれに深く関連した SOL で60ポイントに該当する 職種であること
※上記の条件を満たすためにオーストラリアで得た実務経験を申告する場合、就労可能なビザを保有していることが必要です。
Occupation / work experience | Points |
申請時にノミネートする職種が SOL で60ポイントに該当ししている かつ、申請日から遡って過去4年以内に3年以上、ノミネートする 職種と同じ、またはそれに深く関連した SOL で60ポイントに該当する 職種に従事している |
10 |
申請時にノミネートする職種が SOL で40~60ポイントに該当している かつ、申請日から遡って過去4年以内に3年以上 SOL に記載のある職種に従事している |
5 |
以下の条件を満たしている場合、このポイントが加算できます。
・SOL に記載されている職種に従事している
・就労可能なビザを保有して就労している
・週20時間以上就労している
・有給である
・ノミネートする職種と同じ、またはそれに深く関連した SOL に記載されている職種に十分なスキルを持って従事している
・申請日から遡って過去4年以内に1年以上従事している
Occupation / work experience | Points |
申請日から遡って過去4年以内に1年以上、ノミネートする 職種と同じ、またはそれに深く関連した SOL で60ポイントに該当する 職種に従事している | 10 |
申請日から遡って過去2年間で以内に、認定された Professional Year を修了している | 10 |
次の表に該当するオーストラリアの学位・資格は、オーストラリアで受講・取得し、かつ英語で授業が行われていることが条件。
Qualification | Points |
2年以上フルタイムで就学しオーストラリアの Doctorate (博士号)を取得 | 25 |
1年以上就学してオーストラリアの Undergraduate Degree (大学卒業)を取得し、その後、1年以上就学してオーストラリアの Masters Degree または Honours degree (Second Class (Division 1) Level or Above) を取得 ただし、トータルで3年以上フルタイムで就学していること |
15 |
2 Years Study Requirement を満たしている | 5 |
サブクラス885 において、ここで15ポイントが取れれば、誰でも永住ビザの申請が可能になります。ここで15ポイントを取るための条件は、永住ビザ申請時にノミネートする職種が MODL に記載されているかどうかだけです。MODL ( Migration Occupations In Demand) には「特に需要が高い」とされる職種が指定されており、これらの職種をノミネートして永住ビザを申請すると、高ポイントが取得できます。よく耳にする会計士・看護師・美容師・調理師・菓子職人などは MODL に記載されている職種であり、永住ビザ取得を狙う世界中の留学生のほとんどはこれらの職種に関連する学校に通っているのが現状です。MODL に記載されている職種は SOL にも記載されているので、上記の Nominated Skilled Occupation とあわせれば、60+15=75ポイントが加算できます。
Occupation | Points |
申請時にノミネートする 職種が MODL に記載されている 申請日から遡って過去4年以内に1年以上、ノミネートする 職種と同じ、またはそれに深く関連した職種で雇用されていた 申請日から遡って過去2年間少なくとも10人以上フルタイムの従業員が在籍する企業から、ノミネートする職種でフルタイムの Job Offer (内定)が出ている |
20 |
申請時にノミネートする 職種が MODL に記載されている 申請日から遡って過去4年以内に1年以上、ノミネートする 職種と同じ、またはそれに深く関連した職種で雇用されていた |
15 |
以下の表の内容を満たしていれば、日本語に対して専門レベルの言語スキルを習得してるとみなされ、このボーナス・ポイントを取得できます。申請時の必要書類については Community language でご確認ください。
Bonus points options | Points |
日本の4年制大学を卒業している、または 通訳・翻訳の分野で NAATI の Professional Level の資格を取得している |
5 |
このポイントは、パスマークに5ポイント足りない方、将来的なパスマークの変更を考慮して少しでも多くのポイントを取得したい方が利用するケースが多いです。申請時の必要書類については Regional Australia study でご確認ください。
Partner skills | Points |
申請者のパートナー(配偶者など)が申請者と同様に以下の永住ビザ申請の基本条件を満たしている場合 ● age ● English language ability ● qualifications ● nominated occupation ● recent work experience ● has obtained a suitable skills assessment from the relevant assessing authority |
5 |
いかがでしたか?
上記 Points Test の項目でパスマークの120に達することができれば Basic Eligibility Requirements を満たすことも容易なので、サブクラス885 で永住ビザを申請できる可能背が出てきます。
それでは次に進みます。Obligations (義務)についての内容は以下のとおりとなっています。
サブクラス885 には付加される条件は特にありません。つまり、サブクラス885 で永住ビザを取得した人は、オーストラリアのどのエリアにおいても居住、就労ができ、どんな種類の職種にも就くことが可能です。そして、申請者とその家族はオーストラリアの法律を遵守する必要があり、これが守れない場合は、オーストラリアの 永住ビザに影響が出る可能性があります。
いかがでしたか?ポイント制の永住ビザ申請システムについて、ご参考になったでしょうか。もしPoints Testでスコアが120に届く見込みがあれば、サブクラス885 で永住ビザの申請を視野に入れてみるのも良いと思います。
この サブクラス475 と サブクラス487 の大きな特徴は、サブクラス175 と サブクラス885 と比較した場合、後者は Points Test の Pass Mark が120であるのに対して、前者は Pass Mark が100となっているということです。そのため、サブクラス175 や サブクラス885 を申請をしたいが、ノミネートする職種や年齢などで120までスコアが届かないという方が サブクラス475 や サブクラス487 を申請します。
ただし、サブクラス475 と サブクラス487 では居住エリアが Regional Australia/Low Population Growth Metropolitan Areas に記載のある地方エリアに限定されます。しかし、このビザを取得後、 特定の地方エリアで2年間の居住と1年間の就労をすることにより サブクラス887 で永住ビザの申請が可能になります。 つまり、Points Test のスコアが120に満たない人でも、サブクラス475 や サブクラス487 を申請すれば、ゆくゆくは永住ビザが取得できるというわけです。
サブクラス885 で永住ビザを申請するにあたり、ノミネートする職種によっては「関連する職種で900時間のワーク・エクスペリエンス」が必要になります。この条件は Points Test の中にはなく、上で説明した Basic Eligibility Requirements の中の Skills assessment(技術査定)の条件を満たすために必要となります。
ここでは調理師や美容師を例に挙げます。 Basic Eligibility Requirements の Nominated Skilled Occupation (ノミネートする職種) に出てきた SOL を見てみると、各職種ごとに取得できるポイント( Point for Skill )だけでなく査定団体( Assessing Authorities )の記載があります。調理師や美容師の場合、査定団体が TRA ( Trades Recognition Australia )となっています。つまり、調理師や美容師で Skills assessment をパスするためには、 TRA の指定する条件を満たす必要があるということであり、Uniform Assessment Criteria (UAC) に記載があるとおり、関連する職種で900時間のワーク・エクスペリエンスを積むことが Skills assessment をパスする条件となっています。技術査定をする団体で Skills assessment の条件も異なりますので、ノミネートする職種の査定団体を SOL で調べて、それぞれの査定団体が定める必要条件を確認してください。
上記でも出てきましたが、サブクラス485 とは何でしょうか?このビザには以下の2つの側面があります。
1つ目。英語力または実務経験が足りないがために、サブクラス885 の Points Test のパスマーク120をクリアできなかった人が申請できる18ヶ月間の一時滞在ビザ。この18ヶ月の間に英語力 の改善または実務経験の不足を補うことができれば永住ビザが申請できます。
2つ目。サブクラス885 の 申請(申請要件を満たす学位・資格取得後6ヶ月以内)にあたり、現在保有の学生ビザの有効期限内にすべての書類が揃わないため申請ができないとき、滞在を延長するために申請するビザ。この場合、Skills assessment については最低でも申請が済んでいる必要がありますのでご注意を。永住ビザ取得の秘訣は早めの準備です。
以下は1つ目の特徴について サブクラス485 について簡単にまとめましたのでご参考にどうぞ。
Skilled – Graduate (Temporary) visa (subclass 485) * Points Test のスコアは関係なし
留学生が2年間以上オーストラリアで就学してオーストラリアの資格を取得したが、永住ビザの申請条件である Points Test をパスできなかった場合に申請できる18ヶ月の一時滞在ビザ。この期間内の就労・就学により永住ビザの条件を満たせば、永住ビザの申請も可能。 なお、このビザを取得するためには Main applicant eligibility をすべて満たす必要があります。
About this visa
これは、例えば サブクラス885 の基準を満たすことができなかった留学生が、永住ビザ申請のために必要な実務経験や英語力の改善を得るために18ヶ月間オーストラリアに滞在することを可能にするビザです。このビザの保有者は、 永住ビザ申請のために必要な Points Test のパスマークをクリアした段階で永住ビザの申請が可能になります。
Who is this visa for?
このビザは以下の内容に該当する留学生に発給されます。
・45歳未満である。
・Two (2) years study in Australia の条件を満たして、学位・資格を 6ヶ月以内に取得している。
・サブクラス885 の申請に必要な Points Test のパスマークをクリアしきていない。
・ノミネートする職種が SOL で 50 or 60 ポイントに該当していて、かつ Skills assessment の条件を満たしている。
What does this visa let me do?
このビザは、申請者および申請に含まれる者が就労・就学に関して規制なく18ヶ月間オーストラリアに滞在することを可能にします。具体的には、旅行、就労、英語力を改善するための就学、Professional Year の修了が可能です。
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